「IP電話を導入したいけれど、どういう仕組みなのか分からない」
「従来の固定電話と何が違うの?」
こうした疑問を持つ方は少なくありません。
近年、インターネットや無線通信の発達により、従来のアナログ回線は利用者が減少しています。加入者が減る一方で、回線設備の維持にはコストがかかり続けるため、通信事業者にとっても大きな負担になっていました。その結果、2024年1月から固定電話の設備はIP網へ切り替えられています。
この記事では、IP電話の基本・仕組み・固定電話との違い・導入のメリットをまとめました。新しい電話回線を検討している方はぜひ参考にしてください。
IP電話とは?主な3つのタイプ
IP電話とは、インターネット回線を使って音声通話を行う電話サービスのことです。
IP(Internet Protocol)という通信ルールを利用して声をデータ化し、送受信します。
大きく分けて以下の3タイプがあります。
0ABJ番号IP電話
市外局番から始まる固定電話番号を利用できるIP電話。従来の固定電話と同等の通話品質が確保されています。
代表例:NTTの「ひかり電話」、各社プロバイダの光電話サービス。
050番号のIP電話
「050」で始まる11桁の番号を利用。地域の局番に縛られないためスマホやPCでも利用可能。ただし、事業者を変更すると番号も変わる点に注意。
通話アプリ型
LINEやSkypeのように、アプリを通じてネット回線で通話。番号を持たず、初期費用も安いが、音質が不安定になるケースもある。
IP電話の仕組み
IP電話は固定電話のようにアナログ回線を通るのではなく、インターネットを経由して音声を届けます。
- 声を電気信号に変換
- VoIP技術でIPパケット化
- インターネット回線を通じて相手へ送信
- 受信側で電気信号に戻し音声化
この流れにより、国内外どこでも低コストで通話が可能になります。
固定電話との違い
- 加入権不要:IP電話は光回線契約があればOK。従来の固定電話では電話加入権の購入が必須でした。
- 工事が簡単:多くの場合、大規模な開通工事が不要。
- サービス移行:2024年以降、固定電話も実質的にはIP網を利用しています。
IP電話の導入が進む背景
利用者減少により固定電話の維持コストが上昇したことに加え、企業のDX推進もIP電話普及の追い風になっています。
在宅勤務やリモート会議が当たり前になった今、スマホやPCで受発信できるIP電話は柔軟な働き方を支える重要なインフラになっています。
家庭でも「固定電話の利用頻度が減った」「費用を抑えたい」という理由から、IP電話や通話アプリへ切り替える動きが広がっています。
IP電話を導入するメリット
- 初期費用が安い:既存の光回線を利用すれば大幅なコスト削減に。
- 加入権が不要:固定電話のように権利購入費が不要。
- スマホやPCを活用:社員の端末を子機化でき、電話機の追加投資が不要。
デメリット・注意点
- ネット環境に依存するため、回線混雑や停電時には利用できないことがある
- 事業者変更時に番号が変わる可能性がある
- 緊急通報(110番・119番)に対応していないサービスもある
IP電話の活用シーン
- 企業:代表番号を社員のスマホに転送 → 外出先でも取次ぎ不要
- コールセンター:クラウドPBXと組み合わせ、在宅スタッフも対応可能
- 家庭:固定電話を持たずに050番号を取得 → 光回線とセットで割安に利用
導入時に確認すべきポイント
- 既存回線との相性(光回線かADSLか)
- 緊急通報への対応可否
- 番号が変わるかどうか(0ABJ/050)
- 音質保証(QoS)の有無
- 契約後のサポート体制
まとめ:自社に合ったIP電話を選ぼう
IP電話は、声をデータ化してネット経由で届ける仕組みを持ち、固定電話に比べてコストと柔軟性に優れています。
ただし、サービスによって番号や品質に違いがあるため、導入前には自社の利用目的・規模・求める品質を整理して比較検討することが大切です。
通信インフラがIP網へ完全移行する今、IP電話の理解は欠かせません。導入メリットとリスクを把握し、最適なサービスを選びましょう。